安達医師会は福島県の中程、福島市と郡山市の中間に位置する二本松市、本宮市、大玉村の3市村の医師が参加している医師会です
メインメニュー
トップ  >  医学豆知識  >  血圧の高低を決める因子

血圧の高低を決める因子

血圧は体の状態・時間・季節などによっていろいろと変動します。ではどんなものが血圧を上げたり下げたりするのに関係し ているのでしょうか。主に次の5つの因子によって血圧の高低が決まります。

  1. 心臓の拍出量:心臓が1回の拍出(収縮)で体に送り出す血液の量です。心臓弁膜症などでは血液が逆流 したりして拍出量が増えることがあります。心臓は全身に血液を送り出すポンプの働きをしていますからいつもの量よりも多い量を送り出すためにはいつもより も強い力(血圧)が必要となって血圧が高くなるわけです。
  2. 抹消細動脈の抵抗:体の抹消(手足の先の方)の細い動脈が硬くなっていたり普段より更に細くなったり すると血圧は高くなります。先の方まで血液を送るのに、ある程度の太い血管を通して送るのと、細く硬くなっている血管を通して送るのでは後の方が力が欲し いわけです。では、どんな時に抹消の細動脈は細くなるのでしょうか。夏よりも冬の方が血圧が高いと言われますね。寒い時には熱の放出を防ぐために血管が収 縮して細くなるからです。また、煙草を喫うとニコチンの作用で一時的ですがやはり血管が細くなって血液の流れが悪くなることが分かっています。このほかス トレスなどで緊張しても同じ様に血管が細くなります。
  3. 循環血液量: 体の中を流れている血液の量です。水分の量が影響します。腎臓の病気などで塩分(ナトリウム)の排泄が悪くなって血液中に塩分が増えると塩分は水を周りに 引きつける力が強いので結果的に血液中の水分の量も増えます。適量よりも多い液体を循環させるためにはより大きな力が必要となり血圧が高くなるのです。腎 臓が悪くなくても塩分を摂り過ぎていれば同じわけです。健康のために塩分の接種を少なくして下さいというのはこんな理由があるからなのです。ちなみに糖尿 病の患者さんも糖尿病を持っていない人に比べると高血圧になる割合が多いのですが、その理由の一つとして糖分も塩分と同じ様に水分を引きつけますので血液 の中の水分の量が増える、つまり循環血液量が多いからということがあります。
  4. 血液の粘稠度:血液の粘っこさです。高脂血症などで血液が油濃くなることがあります。極端な例を出す とさらさらした液体とどろどろした液体とを循環させるのにどちらがより力が必要かはお分かりになりますね。血液の粘稠度には血小板の凝固作用が関係してき ます。そこで血小板の凝固作用を弱める薬を処方することもあります。食事では青魚に含まれているエイコサペンタエン酸やドコサヘキサエン酸は悪玉コレステ ロール(LDL-コレステロール)を減少させると共にある程度血液の粘稠度を低下させることが分かっており注目を集めています。
  5. 大動脈の弾力:抹消細動脈の抵抗も血圧に多いに関係がありましたが、大動脈の弾力性も血圧の高低に影 響を及ぼします。弾力に富んだしなやかな血管と弾力に乏しい鉛管のような血管とでは血液を遠くまで送るのには相当の差ができてしまいます。若いしなやかな 血管は血管そのものの弾力によって少ない力(血圧)でも遠く抹消まで血液を運ぶことができます。しかし次第に年を取ってきて硬くなってきた血管ではそうは いきません。大きな圧力(血圧)をかけてやらないとなかなか抹消まで血液を運ぶことができません。高齢の患者さんの中には220/70mmHgなどと収縮 期の血圧だけが極端に高くなっている方がおられます。このような場合は大動脈の弾力が無くなったためであることが多いのです。

さて血圧の高低を決めるのはどんな因子によるものかが理解できれば高血圧症にならないためにはどうしたら良いかが分かってくると思います。

  • 心臓弁膜症などの病気がある場合には手術が可能であれば手術を受けて1回の拍出量を調整して心臓の負担を軽 くしてやることが必要ですし薬もきちんと服用しなければなりません。
  • 抹消細動脈の抵抗を少なくするためには寒さに曝されないように気を付けたり、喫煙を止めることや ストレスと上手に付き合って緊張を持続しないようにもしないといけません。
  • 循環血液量を無闇に増やさないために塩分や糖分の摂り過ぎに気を付けなければなりません。
  • 血液の粘稠度については高脂血症にならないように食事に注意をする。特に青魚を多く食べるように すると良いかもしれません。
  • 最後の大動脈の弾力性は加齢の問題ということにもなりますが、普段の(若い頃からの)心がけが大 事になると思います。若い頃から健康に注意を払って生活してきたかどうかが最後になって問われるわけです。

こうしていろいろな注意点を並べると如何にも面倒くさいものと思われるかもしれませんがそうではありません。

  • 暴飲暴食を慎む
  • 煙草を喫わない
  • 適度な運動をする
  • 肥満にならないように気を付ける
  • 塩分を摂り過ぎない
  • ストレスを上手にやり過ごし、楽しく生きるということをモットーとする

「言うは易く行うは難し」ですが、 単に高血圧症の予防というに止まらず人生そのものを大事にするために必要なことであると思います。時々で結構ですのでこれらのことを思い浮かべていただければ嬉しく思います。 

岩本医院 岩本憲夫
プリンタ用画面
友達に伝える
前
高血圧症の分類と原因疾患
カテゴリートップ
医学豆知識
次
高血圧症の自覚症状および合併症

Adachi District Medical Association